【考察】
　得られた結果から、PDにはいくらかのIgＭ抗Dが存在するように思われます。彼女の最後の輸血が4年前であったと思われることから、それは異常です。IgMからIgGへの抗体産生の「切り換え」はかなり以前に起こったはずです。Jk（a-)、D‐血球とのいずれの反応も抗グロブリン（AHG）試験で起こったことから、彼女に稀にしか認められない生理食塩水反応性（IgM）抗Jkaがあるとは思われません。その産生物がIgG抗体分子を含むことから、それはRh免疫グロブリン（RhIg）ではありません。
　抗Jka抗体の特徴には、この著者によって誤ってへテロ接合性血球として引用される場合がある1用量のJk（a＋b+)を有する血球との反応と比較して、JkaJkaあるいはJk（a＋b-)で示される2用量の抗原を持つ血球と反応性がより高くなります。この抗体は酵素処理した血球との方がより反応しやすく、実際に、フィシン処理した血球が溶血を示したことが報告されています。この抗体は通常、低力価であることから、刺激を受けてから間もない場合を除き、最初の検査で見逃される可能性があります。多くの中間性および遅延性の輸血反応が重篤である場合が多く、新生児溶血疾患（HDN）の軽度の症例があると報告されています。抗Jka抗体は、4種類の全てのIgGサブクラスに属すると報告されています。
　非常に多量の補体（C3）が活性化され、赤血球表面に結合することから、この抗体を検出するには広範囲抗グロブリン試薬が必要であると考える専門家が多くあります。著者も含めた他の専門家は、低イオン強度液（LISS）またはPEG＋および抗IgGがこれらの抗体を非常に良好に検出すると考えています（さらに、比較的わずかな寒冷凝集素がワークアップされる必要があります）。これは各血液バンクの責任者および担当者が行うべき決定です。
　Bob Dunstanが行った研究によると、血小板、リンパ球、単核球および顆粒球にはJk抗原は認められません。その抗原は10週という初期の胎児において良好に形成されることが認められています。
　抗D抗体は最も普通に確認される免疫抗体です。それが原因となって非常に重篤な輸血反応および胎児HDＮが生しる場合があります。その抗体はC3とは結合せず、量的変化を示すことは稀で（10）、多くの場合酵素処理したRBCと比較的良好な反応を示し（11）。

問題10．（10）の中に入る言葉は次のうちどれでしょうか？
　　　　　　　あり なく 　　　　　　　
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