【考察】
　TCの血清中検出された抗eが性質上自己抗体であるか同種抗体であるかを決定することは非常に重要です。TCはこの8ケ月間は輸血を受けていないことから、患者の血球を覆う抗eは自己抗体であると考えられます。TCの赤血球の血液型判定を行うことで、これを確認できるものと考えられます。TCの赤血球はDAT陽性であることから、血液型判定用血清の一部の高蛋白試薬によって不適切な結果が得られる可能性があります。この間題は、モノクローナル試薬または生理食塩液抗血清による検査によって克服することができます。TCの赤血球をクロロキン・2リン酸またはEDTAグリシン酸溶液で処理することで、結合した抗体を赤血球から解離できると考えられ（3）。これらの方法のいずれかを選択した場合、一部の抗原が弱くなるか破壌される場合が（4）ことに留意すべきです。十分に抗体を除去したら、妥当な血液型判定結果を高蛋白試薬で得ることができます。生理食塩液抗血清または化学修飾試薬は、化学的に処理した赤血球とともに使う場合注意が必要です。処理後にDATが陰性である場合、抗グロブリン試験が必要な他の抗原についての血液型判定を行うか、あるいは別法として、モノクローナル試薬をを使うことができます。TCのRh表現型はR1ｗR1であることから、抗eは自己抗体（5）。
　貴院では血清の反応性をどのように解決されたのでしょうか。自己抗体は特異性（抗e）を持つことから、貴院は抗Jkaを確認して、e‐選択血球によって他の同種抗体を除外したと考えられます。貴院が十分なe‐選択血球を持っていなかったのであれば、（6）　吸収を行って、自己抗eを除いたものと考えられます。貴院としては、ZZAP試薬（チオール試薬と酵素の混合物）を検査室に準備するか、市販のW.A.R.M.（温式自己抗体除去用メディウム）を使って、患者の赤血球から自己抗体を除去し、同時に赤血球を酵素処理して、より良好な吸収能を得ることができると考えられます。
　白己吸収させるだけの患者赤血球が十分なかった場合は、（7）吸収を行って、自己抗体を除去することができると考えられます。TCについて表現型がわかれぱ、TCが持っていない一般的抗原には陰性であるドナー血球を選択して、吸収（表現型的同種吸収）に用いることができると考えられます。TCについて完全な表現型を得ることができなかったり、あるいは表現型的に同種の血球が入手できなかった場合は、3重吸収を行うことができると考えられます。3重吸収は、3つの血球、すなわちＲlRl、R2R2およびrrからなり、少なくとも一つの血球がJka、JkbおよびK1に（8）です。次に、血球を酵素処理して、より良好な（9）能を得るようにします。酵素はDuffy判定およびＵNS判定の抗原を破壌することから、3重吸収のための血球を選択する場合は、これらの血液型判定は重要ではありません。

問題3．（3）の中に入る言葉は次のうちどれでしょうか？
　　　　　　　ます ません 　　　　　　　
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