【考察】
今回のセルフチエックの検体は血清中に自己抗体がまだ産出（spilled over）されていない温式自己免疫性溶血性貧血（WAIHA）を示しています。通常これらの患者は自己免疫過程での初期の段階にあると考えられます。赤血球は抗c、抗eでコートされています。それ故、解離液はRzRz、Rzry、ryry血球が試験されたのでないならば、ルチーンパネルの総ての血球と反応するでしょう。もし解離液がRlR，R2R2とr r血球で吸収されたならば、抗cと抗eが明白となります。この描写が自己免疫過程に関連した病気か薬剤のためであるかどうかを決定することは、良く判った患者履歴無しには難しいときがあります。
この患者は抗Dと抗K1の2種類のアロ抗体を産生しています。これらは不適合輸血や妊娠により生じます。これらの抗体はホモ接合の人の血球とわずかに強く反応します。抗Dは酵素未処理血球と比較して酵素処理血球により強く反応します。一方、抗K1では酵素処理血球を用いると反応性が強くなったり、弱くなったり、変化が無かったり、全く反応しなくなったりする事が知られています。
時々、WAIHA抗体の特異性はしばしば見られる抗e様抗体、抗c様抗体である赤血球抗体の特異性に良く似ています。Dr．George Garrattyは「Target Antigens For Red‐Cell Bound Autoantibod1es」の一章で血液型抗原の目標を述べています。その中で彼はWAIHA抗体のために血液型抗原の特異性の解釈は、注意が必要である事を警告しています。例えばWAIHAの多くが（7）や（8）に対する関連性が見られるので、（9）頻度抗原陰性血球のパネルを最初に試験するのが良いでしょう。
この患者のために2種類の適合するPRBCを見つけるために、K：一1 r rを2単位必要とします。白人の場合Klは約9％、アフリカ系一アメリカ人の場合3％のみですので、r rの約91一98％が適合します。それ故に、K1陰性2単位を見つけるために、（10）単位の血液がスクリーニングされる必要があります。
患者血清中に抗A，Bが存在することより、セルフチエックの検体はO型であることが確認されます。
問題7．（7）の中に入る言葉は次のうちどれでしょうか？
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