【考察】
　KKの血清中に不規則抗体は検出されませんでしたが、KKの自己対照検査とDATは陽性です。我々は今日までのKKの投薬歴や輸血歴について把握していませんので、KKに輸血反応が生じるか否かを明らかにすることが望ましいと考えられます。KKの赤血球を用いて行った解離試験では、抗Dが輸血血球を覆うことが示されています。KKの血清中に抗Dが検出されなかったことは異常だと思われるでしょうか。KKがかなり以前にD＋赤血球の輸血を受けたための、その杭Dが弱いものであったとしたら、KKの血清中に存在していた全ての抗Dが現在、輸血D＋血球を被覆していると考えらます。抗Dは多分2日以内に非常に容易に検出されるでしょう。
　貴院では、抗体スクリーニング時、自己対照検査またはDATを日常的に実施していますか。承認されている血液バンクの実務によると、これらのいずれの検査も日常の検査には必要ありません。貴院で日常的にこれらの検査を行わないのであれば、どのような条件下であればそれらの検査を行われるのでしょうか。抗体スクリーニングが陽性であって、パネル試験を行ったとしたら、貴院では自己対照検査を行なわれるでしょうか。KKがへモグロビンおよびへマトクリットに予想される上昇を示さなかった場合、貴院ではDATを行われるでしょうか。各施設は、これらの検査をいつ行うべきかについて明瞭に記した手順書または方針を持たなければなりません。貴院がこれらの検査のいずれも日常的に行っていないのであれば、貴院でKKの輸血反応が検出されなかった可能性があります。
　この緊急の状況で、KKに対して0，D十血液を輸血したのは間違っていたのでしょうか。我々は、D＋ドナー単位が妊娠可能年齢の女性に輸血されるのを防ぐよう尽力します。さらに、抗D免疫グロブリンが生産される前にD＋の子供を出産したD‐の女性がすでに抗Dを形成している可能性があることにも、我々は留意しなければなりません。KKの状況では、被覆されたD＋ドナー血球は最柊的に患者の系から一掃されるでしょう。患者のへモグロビン値およびへマトクリット値が低下し続ける場合は、0，D（６）血液の輸血が役立つはずです。KKが妊娠可能年齢であったとしたら、抗Dによる新生児溶血疾患（HDN）が非常に重大となる可能性があることから、状況は違ったものとなったと考えられます。0，D‐血液の不足とKKの輸血歴およぴ妊娠歴が不明であることを考慮すると、0，D＋血液を投与するという決定は適切でした。

問題6．（6）の中に入る言葉は次のうちどれでしょうか？

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