【考察】
急いでいる時に異常な抗体を発見するというのはいつものことではないでしょうか。今日もそれは同じです。幸運なことに、PMは妊娠と輸血によって、1つの抗体のみを形成しましたが、この抗Sは、ややわかりにくいように思われます。この症例から、抗Sが過去の輸血または妊娠によって生じ得るものと容易に推論できます。抗Sは量的効果を示す場合があり、多くの場合、S＋s＋血球よりS＋s‐血球とより強く反応します。この抗体は通常は、酵素処理した血球とは反応しません。ただし、上記の結果から、S抗原／抗S反応性の破壊が不完全な場合があることがわかります。
S抗原は、Ssシアログリコフォリン、Ss SGPまたはグリコフォリンBにあり、それらは各赤血球膜に約10000個のコピーがあります。Ss SGPの位置29でのアミノ酸置換はSs抗原状況に影響を与えます。そのアミノ酸がメチオニンであれば、S抗原が存在します。その位置にスレオニンがある場合、s抗原が存在します。Ss抗原は、リンパ球、単核球、顆粒球および血小板には認められません。MNS系についての遺伝子は、第4染色体にあります。米国黒人の約70％がS‐s＋であり、白人の45％がS‐s＋であることから、本日、手術室でのPＭ用の2単位を見いだすには、4〜9単位の0，D‐をスクリーニングする必要があります。PＭの血清中の抗A，Bから、患者のAB0血液型（５）型であることがわかります。
【参考文献】
1. Issitt PD. Applied blood Group Serology. 3rd Ed. Durham, NC: Montgomery Scientific
Publications, 1985 : 316-374.
2. Mollison PL. Engelfriet CP, Contreras M. Blood Transfusion in Clinical Medicine. 8th Ed. Oxford:
Blackwell Scientific Publications, l987 : 383-393.
3. Vengelen-Tyler V. ed. Technical Manual. 12th Ed. Bethesda, MD: American Association of Blood
Banks. 1996: 278-285.
問題5．（5）の中に入る言葉は次のうちどれでしょうか？
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