感染症検査（20）
クラミジアトラコマティス
解説
①クラミジア検出
上皮細砲中にしか生息し得ないクラミジア・トラコマティス（Chlamydia
trachomatis)の検出法には、細胞培養法、EIA法ならびにＤＮＡ法の3法があ
り、いずれの場合も丹念に分泌物を除去した上で局所(粘膜)を擦過して得ら
れた上皮細胞が検査材料になる(上皮細胞がなければ検査不能である)。近年、
クラミジア・トラコマティスのリボソームＲＮＡを検出するＤＮＡ法がキット
化され注目されている。
②クラミジア抗体の検出
感染部位の擦過物は常に得られるものではないので、血清による抗体価測定
がスクリーニング法として用いられるようになってきた。lgG抗体価よりも、
lgM抗体価のほうが感染初期をよく反映することはいうまでもない。ただし
クラミジア陽性で抗体陰性、クラミジア陰性で抗体陽性という例もかなりあ
るので、できればクラミジアを検出すべきである。なお健康人でもlgG抗体
陽性者は20％存在する。最近、クラミジアトラコマティスIgAおよびlgG抗体
を同時に測定するキットが発売された。IgA抗体はlgG抗体に先駆けて出現
し、初期感染のマーカーとして活動性感染の指標となり、また治療により
IgA抗体が激陽することにより治療効果をすみやかに反映すると言われてい
るIgA及びlgG抗体を測定することにより、既往感染や活動感染の指標及び
治療効果の判定に有用であると言われている。
③臨床的意義
クラミジア・トラコマティスによる、いわゆる非リン菌性の性行為感染症と
して全世界的に流行しており、妊娠女子の子官頚管より5～10％検出されて
いる。垂直感染により、乳児期肺炎の約30％はこの微生物による。なお（10）
病といわれる肺炎は、クラミジア・シッタシ(C.psittaci)という別な<クラミジア
によるものである。これらの血清学的診断法は、適切な抗生物質選択
のために重要である。
（臨床検査コンペジウム第8版B6版、ビー・エム・エル、1994、p219-p220）
問題３２３．（10）の中に入る言葉は次のうちどれでしょうか？
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